ホームページに戻る

サイトマップへ ホームページへ
下関港大発展理論

下関市港湾局長 宮本卓次郎

下関港の舞台裏に戻る
はじめに
  本州西端に位置する下関港は、本州で韓国、中国黄海沿岸に最も近接するという地理的優位性と、関門海峡に面することによる海陸交通の要衝性によって、既に対韓貿易の拠点港となり、対中国貿易においても着実に港勢を伸ばしつつある。
  このことは、対韓、対中貿易において優位性の高い地理的位置を占める下関港にとって必然の結果であり、対韓、対中貿易を円滑かつ効率的に行うための拠点港となることが下関港に課せられた国家的責務であるとも言える。
  そして、地元地域にとっては下関港が国際物流の拠点となることが地域経済の維持、活性化に寄与することは疑問の無いところである。加えて、三方を海に開かれた下関市である。その三方の海岸線を占める下関港は、市民生活の場であり、また産業の場である。よって、国際物流以外の分野においても下関港の今後の有り様が下関市の将来を左右する。
  このような認識の下、本稿では下関港の将来展開について私的見解も交えながら論じることとする。
上へ戻る
1  沖合人工島出島理論
  下関港は韓半島との近接性、国内陸上交通アクセスの利便性、強力なCIQ体制、韓国との稠密な航路ネットワーク、充実した冷凍倉庫群など、他の港湾に無い優位を持っている。これらの優位があって、貧弱な近背後圏、強制水先制度に代表される関門航路故の入出港にかかわる制約、不十分な物流用地といった不利を克服して今日の港勢を維持している。
  そして、現在の不利を払拭して、今ある優位を維持することによる港勢の飛躍的発展を期して、現在、日本海側に沖合人工島の建設を進めている。沖合人工島では、今ある岬之町コンテナ・ターミナルより遥かに広い物流スペースを確保でき、また、関門航路の区域外であるので水先案内が不要で潮流による制約からも解き放たれる。このように、現在の下関港の港間競争上の不利が払拭されることは間違い無い。
  よって、沖合人工島にとって重要なことは、今ある優位を真に維持することなのである。
  現在の岬之町と沖合い人工島との違い・・それは、岬之町が関釜フェリー等の入る本港地区に隣接することに対して、本港地区から沖合人工島は距離があるということである。国際旅客の利便を考えれば、国際フェリーは駅や中心市街地に接する本港地区から動かせない。その結果、沖合人工島の利用が始れば下関港の国際物流拠点が二極分化してしまうことになる。すると、機材や作業員といった港湾サービス資源を如何に効率的に運用する工夫が必要になる。そして、簡単に体制強化を望めない国のCIQ体制でサービス水準を如何に維持するか・・が極めて重要な課題となる。
  そこで改めて下関港の沖合人工島を見ると、他の港湾に無い特徴に気づく。それは、下関港の沖合人工島が際立って小規模である・・ということなのである。例えば、神戸のポートアイランドは約600ヘクタール。 これに対して、下関港の沖合人工島は約60ヘクタールでしかない。大規模な人工島では、土地の活用のために都市機能や住宅機能を立地しなければならない。が、小規模な下関港の沖合人工島は国際物流機能に特化することになり、そんな人工島は日本の港湾では下関港だけなのである。
  この下関だけの特徴を優位に結び付けることが、沖合人工島の成否を握っている。即ち、橋一本でつながる国際物流専用沖合人工島、だから、鎖国時代の長崎出島のようにすれば良いのだ。そうすれば、最小限のCIQ体制で最高水準の管理が可能になるはずである。これが「沖合人工島出島理論」である。
  これを実現するためには、人工島全体を保税地区に指定するとともに、連絡橋の通行を厳重に管理するハードとソフトを整備することが必要となる。連絡橋のタモトにはCIQ及び保安部、水上警察などの関係官署が常駐できる行政ビルを立地し、これらの関係官署と連携して、貨物や人の通行を検査し管理するシステムを構築する。
  幸い、近年では税関では40フィート・コンテナトレーラをチェックするレントゲン施設の整備が進めつつあり、また、非接触ICタグや様々な監視機器など要素となる技術シーズは揃っている。これらを活用することによって二十一世紀に相応しい、効率的で効果的なゲート管理が行えるはず。
  そして、密輸等に対する取り締まり官署が集合し、監視情報を共有すれば官署間での業務分担が可能となり、監視の業務負担も軽減できるかもしれない。
  このような構想を具体化するため、現在、下関港ではCIQ等の関係官署との協議を持ちつつ調査を進めている。
上へ戻る
2  貨物鉄道復権理論
  かつて日本の国内陸上貨物輸送を支えた貨物鉄道は、トラック輸送に主役の座を奪われて久しい。が、地球環境問題が国民的関心を集める中、トラック輸送に関する逆風が吹き始めている昨今、とりわけ下関港における鉄道貨物輸送アクセスの維持、改善は重要な課題であると認識している。
  何故なら、日本の空と海の港の中で下関港の背後圏が最も広いからである。例えば輸入貨物については、下関港で輸入される貨物の6〜7割が関西以東へ運ばれている。別の視点では、例えば下関港で輸入される種野菜の全国輸入量に占めるシェアは日本一。トマトが全国の7割。ナスは全国の8割。キュウリは全国の9割。これらの大量の野菜を下関25万、山口県150万の人口で消費できる訳が無い。だから、下関港に入った輸入野菜は全国へ配送されている。このように下関港の背後圏は広く、下関港の貨物の集配距離は極めて長いのである。
  そして、輸送距離が長距離になればなるほど、トラック輸送に対する鉄道輸送の競争力が改善する。何故なら、トラック輸送のコスト構造が概ね時間と距離に比例してコストが増大するようになっている。が、鉄道輸送では駅での積み下ろしコスト、即ち輸送の両端のコストが大きく、その間の輸送中のコストが比較的小さいので輸送距離が長くなるほど、距離当たりのコスト単価が小さくなる・・遠距離低減効果があるからである。
  つまり、鉄道貨物輸送にとってトラックに勝てるチャンスが最も大きい港。それが下関港である。このことは、下関港にとっても、鉄道輸送との結節が、より有利な内陸輸送アクセスを確保することに他ならない。
  だから、現状においても下関港の国際貨物の一部は鉄道輸送で運ばれている。そして特筆すべきは、デイリー・サービスの関釜フェリー航路を有するので、通常のISOコンテナではなく、JRコンテナが対韓貿易に活躍している点である。コンテナ船でなく、荷姿に制約が無いフェリーだから、JRコンテナを運ぶことが出来るのである。このJRコンテナ。国鉄の線路が狭軌であり、また、日本の国内道路事情から生まれたものであるが、その取り回しの良さと小口性が韓国でも好評と聞く。よって、国際フェリー航路を有する下関港の優位性を最大限発揮するという意味合いにおいても、JRコンテナの積極的活用の環境を整えることが重要なのである。
  また、下関港のもう一つの優位性。つまり、山陽線と山陰線が結節する下関市にあって、本州の二大縦貫鉄道にアクセスできる優位性を活用しない手は無いのである。
  このような認識の下、一方では新たな国際物流拠点としての沖合人工島の整備に対応させ、関釜フェリーの入る本港地区と沖合人工島の中間にある幡生操車場跡地に新たな鉄道貨物ターミナルの設置を目指して、調査、調整を進めているところである。
  そして、長期的な視点では、沖合人工島に鉄道を直接結節することも検討してみる必要があるものと考えている。
上へ戻る
3  人工島赤ん坊理論
  沖合人工島の整備における、もう一つの視点は自己完結化である。連絡橋一本で結ばれた沖合人工島で物流活動を中心に様々な活動が成される。このためには、ガス、水道、電気といったライフラインの結節が必要になる。また、排水、廃棄物などの処理も必要になるだろう。このため、ライフラインや通信ラインは連絡橋に収められることになっている。いわば、連絡橋が人工島という胎児のへその緒になっているのだ。が、全ての活動を連絡橋に頼るのでは、災害に対する脆弱性を残すことになる。また、人工島での活動の廃棄物などを全て連絡橋を通じて排出するのが妥当なことだとは思わない。
  やはり、最低限の港湾活動を維持し、かつ、周辺環境や周辺地域への環境負荷を極力低減することも沖合人工島においては重要な視点である。必要なエネルギーについては、風力発電など自然エネルギーの活用。緑地維持やコンテナ洗浄などへの雨水活用。そして、廃棄物、排水についての処理機能の保持など、沖合人工島の自己完結化も沖合人工島の供用に向けた下関港の課題であろう。
  人工島が、何もかもをへその緒で結ばれた母親に頼る胎児ではなく、せめてヨチヨチ歩きの赤ん坊程度になっておく必要があると思うのである。
上へ戻る
4  国際ターミナル・・賑わいショップ理論
  韓国、釜山港と下関港を結ぶデイリー・サービスの関釜フェリー。そして、中国、青島港と下関港とを二周三便で結ぶオリエント・フェリー。関釜フェリー航路は日本で唯一のデイリー・サービスであり、国際フェリー航路が二航路あるのも日本唯一。これらが、下関港に二つの日本一の冠を与えてくれている。
  とりわけ、昨年就航30周年を迎えた関釜フェリーは、貨物も然る事ながら、旅客数は空前の16万人を記録した。本年、日韓関係について難しい局面もあったが、旅客数は順調に推移しており、恐らく昨年を更に上回ることが確実視されている。
  このような状況を受け、更に来年に予定されているサッカー・ワールドカップの日韓共同開催を控え、増大が見込まれるターミナル利用者の利便の向上と安全で円滑な移動、そしてバリアフリー化の推進のため、ターミナルビルと既存の下関駅周辺人工地盤を結節する人工地盤整備を進めているところである。
  一方、ターミナルの未利用スペースの一部について免税店の進出要望があり、これを入れたところ大変な盛況となった。この状況を見て、他の商業者から多数の熱心な店舗進出要望が生じており、市港湾局としては嬉しい悲鳴を上げているところである。
  すなわち、下関駅及びその周辺の中心的商業施設に近接する国際ターミナルが、人工地盤の結節によって、中心市街地からのアクセスの利便性が更に良好になり、かつ、国際ターミナルの利用者も増大が見込まれる中で、その商業的価値が急激に高まったことが実証されたのである。
  加えて、韓国釜山及び中国青島と国際定期フェリー航路が入る国際ターミナルである。よって、韓国および中国の物産、商品を販売する場合にも、国際ターミナルは最も有利な場所と言える。何故なら、もし仮に国際ターミナルでフェリーから積み降ろした商品を販売する場合には、割高と言われる日本の国内輸送を省くことが出来るからである。しかも定期フェリー航路だから高頻度かつ安定的な輸送が確保されている。これらのことから、国際ターミナル・ビルは、韓国や中国の物産等のアンテナ・ショップとして最良の場所・・と言えるはず。
  以上述べてきた国際ターミナルの商業的ポテンシャルを踏まえ、国際ターミナルに結節した商業スペースの拡大も検討に値する。これにより、地域においては経済の活性化、、港湾にとっては財務体質の健全化が期待できるからである。
  幸い、ターミナル・ビルに隣接する駐車場用地なら、現在整備中の人工地盤との結節も可能で、ターミナル・ビルとの一体性を確保しやすい。また、ターミナル・ビル前面は、桟橋形式の国有岸壁であるが、その上空専用によってターミナル・ビルの商業スペースを拡大する可能性もある。この場合、今は混在するフェリー乗降客と荷役作業を分離し、また、従来から要望のある荷役作業の雨対策、すなわちターミナルの全天候化も実現できる。
上へ戻る
3  国際フェリー手荷物理論
  下関港にも日本一を自慢できるモノがある。それは我が国唯一のデイリー・サービスを行っている国際フェリー定期航路の関釜フェリーである。そして、デイリー・サービスの国際フェリーが就航しているからこそ、下関港は我が国でいち早く365日の即日通関が可能な港湾となっている。つまり、即時通関が当たり前の国際旅客が毎日入る下関港ではCIQの体制が充実しており、その充実したCIQの体制がコンテナ貨物の即日通関も可能としている。
  下関港の利便性の源泉とも言える関釜フェリーの就航は、下関港の韓国釜山港に近接しているという地理的優位性に由来するが、その関釜フェリーが何しろ強いのである。ただし、その強さの理由は国内フェリーのRORO特性とは少し違うような気がしている。国内フェリーの場合には、シャーシ、トラックなど自ら移動する能力を有する貨物を運ぶということに由来する利便性がある。しかし、国際フェリーの場合には商業車両の乗り入れ規制もあり、更に通関等による港湾での滞留がある。そのことだけ見ても、国際フェリーと国内フェリーが違うことが明らかである。それでは何が強いのか・・ということになるが、それはコンテナ貨物との対比で、フェリーが旅客も運ぶことによる就航率及び定時性の高さ、船体の振動の少なさ、安全への配慮等であり、また、シャトル便であることによるスピードと確実性の高さということであろうと考えられる。つまり、時間に遅れれば声高に文句を言う旅客を乗せている以上、船社にとっての定時性確保の重要性はコンテナ船に比べて極めて高くなるのは当然であり、シャトル便だから遠回りすることもなく、貨物のおろし忘れもあり得ないといった具合である。国際フェリーの強さは、夕方に船積みを確認すれば、旅客とともに翌朝には安全かつ確実に相手港に到着するであろうという荷主の信頼感なのである。そのことを説明する時、「国際コンテナが空港で預ける荷物なら、国際フェリーは機内持ち込みの手荷物のように安心・・手荷物なら紛失の心配もなく、また、見えないところで乱暴に扱われる心配もない故・・」と言うと、大抵の方にご理解いただける。
  今春、関釜フェリーの新造船「はまゆう」と同型船が2年後には釜関フェリーに投入されることが決まった。これにより、関釜フェリー航路全体の貨物輸送能力は2〜3割増強され、旅客のみならず、貨物にとっても下関〜釜山間のさらに安全、快適な船旅が提供される予定である。
上へ戻る
5  長府地区勝手口理論
  下関港で、瀬戸内海側に面する長府地区。戦前からの埋立地には、地名を冠する長府製作所本社工場の他、戦前からアルミ加工を行ってきた神戸製鋼所アルミ工場、大型タイヤで世界シェアの6〜7割を生産するブリヂストン工場、中国電力など多くの優良企業が立地している。地名は、初代国土交通大臣と同じ長府扇町。そこには、140社五千人が働いている。人口25万の下関市において、域外経済効果の高い産業が立地し、五千人の雇用を確保している。これだけで、少なく見積もっても下関市経済の一割は支えているだろう。
  この地区にある公共岸壁は、7.5m岸壁一バースの他、大きな岸壁は見当たらないが、世界シェア第一位の大型タイヤ工場が立地するお陰で、月2便の北米航路と月1便の豪州航路が就航している。これらの航路に就航する船舶はコンテナに収まらない大型タイヤを運搬するため、いずれもROROタイプである。が、近年の船舶の大型化の要請を受け、7.5m岸壁に隣接して11m岸壁の整備を進めようとしている。これにより、現在、船舶が入港できないために他港に運ばれていた大型タイヤのほとんどが下関港で取り扱われることが期待される他、新たに造成する背後用地が出来ることによって、タイヤ輸出の帰り便に適合した貨物に見合う新たな産業誘致が可能となる。
  また、本地区は本年9月、念願の関門港域へ編入が済んだ。これにより、港則法港域に連動しする関税法上の開港指定も同時に受けたことになる。加えて、この長府地区は下関港にあって整備中の沖合人工島以外の唯一の強制水先区外の港区である。
  瀬戸内海にあって、安定したベースカーゴ、開港、そして強制水先区外。これらの要件が整ったことから、長府地区については工業港型港湾を基本としながら、気候条件等に応じて沖合人工島を補完する国際物流機能を有する地区として整備を進めることとしている。
  また、長府地区周辺は、今も干潟が残り、沿岸漁業活動が営まれている地域でもある。よって、港湾整備においては浚渫土砂による干潟造成など、海域環境の改善や漁業者との共生に配慮する必要があろう。
上へ戻る
6  関門フロントタウン理論
  下関港〜韓国釜山港の間には、デイリー・サービスの関釜フェリーに加え、週6便のコンテナ・サービスがある。これらフェリー航路とコンテナ航路よりなる多重高密度の韓国釜山港への海運サービスと下関港のスピーディかつ内容の充実したCIQ体制、更に十字路理論で述べたように道路、鉄道ともに充実した本州アクセスが組み合わさって、本州と韓国とを結ぶ最も多様、確実かつスピーディな物流サービスを提供できる港湾となっている。下関港にさえ運べば、コンテナ船或いはフェリーで確実に貨物が届けられる。また、韓国からの輸入も、釜山港まで持ってくれば確実に翌朝には下関に届き、夕刻までに通関を終え、その日の夜には大阪に、また、二日目のお昼には東京まで確実に貨物を届けることが出来るのである。下関港と韓国釜山港の間の物流サービスは、荷主にとって、映画にある「スター・ゲート」のようなものと考えることが出来る。「コーリアン・ゲート」とは下関港が我が国にあって韓国のゲート・ポートという意味なのである。この点、大都市港湾のゲート・ポートとは少しニュアンスが違うことにご留意いただきたい。
  そして、このようなサービスの特性を最大限活用し、また更に先鋭化させることが今後の下関港の基本港湾戦略となっている。
  このため、下関港では日本海側に新たな国際コンテナ物流拠点とすべく沖合人工島(ひびっく・らんど)の建設を運輸省第四港湾建設局のお力添えを頂きながら進めている。この沖合人工島は、地理的優位性や優れたアクセス、スピーディなCIQサービスといった下関港の優位性を継承しつつ、強制水先制度も含めた関門航路の航行にかかる制約やヤード不足といった現状の諸課題を解決するものであり、沖合人工島の供用により下関港のサービス水準が更に高められるものと期待される。
上へ戻る
6  下関スペシャル理論
  旅客利便等に配慮して国際フェリー・ターミナルは現在の本港地区に残すことになるが、コンテナ輸送を中心とする国際物流機能は、日本海側に新たに展開する沖合人工島、瀬戸内海側の長府地区。つまり、強制水先区に代表される関門海峡での港湾活動の制約、不利を払拭できる下関港の両翼へ展開することになる。
  そこで、国際物流機能を両翼へ展開した後の関門海峡沿岸地域の再開発を進める必要がある。
  これについては、既にあるかぽーと地区において新水族館「海響館」、そして新唐戸市場が本年オープンし、対岸の門司レトロ地区と連携して期待以上の盛況を呈している。そして、来年オープン予定のフィッシャーマンズ・ワーフが起工した。また、大型商業施設、アミューズメント、シネマコンプレックス、都市型ホテル等を内容とするあるかぽーと開発についても、民間による企画会社の設立、条件付きながら事業三セクへの出資議案可決等着々と事業実現に向けた準備が進められている。
  そして、平成18年内に沖合人工島が一部供用開始すれば、現在の岬之町コンテナ・ターミナルの機能を全て移転することとしており、その跡地には海事関係者等のための住居機能を備えた多目的ビルなどの立地を検討することとしている。何故なら、潮流や強制水先制度によって、韓国や中国からの国際コンテナ定期船の入港には不利があった岬之町地区であるが、関門橋から巌流島までの関門海峡を眺望できる優れた景観を有し、かつ、下関駅や周辺商業施設、そして現在再開発を進めているあるかぽーと地区、唐戸地区などにも近接する好位置にある。これらが、住居やオフィスとして最良の立地条件だからである。
  また、関門海峡、下関港が有する海上交通の要衝性も忘れてはならない。数多くの内航行船が日々関門海峡を通過している。そして、下関港からは日本海、九州沿岸、瀬戸内海、太平洋沿岸まで無駄無く到達できる。このような海上交通の要衝性があって、かつ、関門海峡である故に大幅な埋立造成が出来なかった下関港の特性がある。だから、係留施設が繁華街等に近接するので、現在でも数多くの内航船が休憩係留のために下関港を利用している。「船から歩いて飲み屋に行ける下関港」なのである。
  つまり、国内海上交通の要衝性があり、かつ、市街地と港湾が一体となっているお陰で、内航船船員にとって下関市は居を構えるに絶好の場所といえる。
  また、日頃通過した関門海峡を眺めながら余生を送りたいと思っている外航船員も多いだろう。
  唐戸地区、あるかぽーと地区に引き続く再開発用地としての岬之町コンテ・ターミナルについて述べた。が、沖合人工島が稼動を始めれば、現在、本港地区周辺にある倉庫など物流機能が沖合人工島への移転を始める。その跡地についても、今後、再開発の方向を定める必要が生じる。
  地域の特性を活かし、優位性を最大限発揮すること。そして、地域経済の活性化には定住人口の増加等も効果的な要素である。これらを考えれば、港湾における内航船等の基地化、休憩利用の増進があり、これに対応して用地については住居機能や商業機能の立地を含めた都市的活用が重要性を帯びてくるのである。
  サンズイに巷をつけて「港」成す。・・・これが、港づくりの神髄ではないだろうか。
上へ戻る
あとがき
  下関港の今後の整備の方向について主要な課題を述べてきた。が、これが全てではない。先の18号台風で示された高潮に対する脆弱性を露呈し、老朽化し、浸食が進む関門海峡沿いの海岸防護。保全と環境整備が進む巌流島の活用。産業構造の変化等により利用が低迷する彦島西山地区の利用活性化。漁業関係者の高齢化が進む中で、点在する漁船用船溜のプレジャーボート受け入れなどの再活用。海上交通の要衝ゆえの国内港湾作業船の受け入れ要請への対応。再開発を進める関門海峡沿いの新たな交通基盤の整備。・・・・
  三方を海に囲まれた下関市、その沿岸を占め、港湾施設が点在する下関港の特性故に、港湾の果たすべき役割も多様かつ膨大である。よって、限られた人的、財政的資源の下では、多くの課題を認識しつつも、重要性、緊急性を踏まえて優先度の高いものから順次対応するしかない。
  現職について三年目。昨年著した「下関港大繁盛理論」の続編を意識して本文を著した。大繁盛理論では、下関港の特性、或いは優位性を明確にし、本文では、下関港の将来展開について現在の筆者の考えを整理したつもりである。賢明な読者なら、筆者が下関市港湾局職員を始めとする下関港関係者に、まず読まれることを意識して著したことがご理解いただけるであろう。それは、自らの考えを押し付けるためではない。自らの考えを問いかけ、共に考える契機とするためなのである。そして、筆者のこの拙文が一港湾の港湾管理者の現状の課題意識であることも間違い無いところ。これが全国の港湾関係者の目に触れる以上、是非ともご感想、ご助言をいただきたい。
  多くの方々に支えられ発展する・・これが私の「下関港大発展理論」である。
上へ戻る
下関港の舞台裏に戻る


サイトマップへ ホームページへ